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月と人間の相関関係まとめたバイオタイド理論と月の魔力

1996年に発表された「月の魔力」という本をご存知ですか?

著者はアーノルド・リーバーという医学博士で、病院での臨床経験で従来から言われていた月と人間の精神状態・肉体の状態などの関連が単なる迷信でないと確信するようになり、その確信のいくつかが現実に起こっていることを証明するため、様々な事例を集めて統計的分析を行いました。

そうして発表した本が「月の魔力」。

月の魔力 表紙

著書の中には彼が提唱した「バイオタイド理論」が記されており、簡単にまとめると以下のような内容となっています。

地球上のすべての生体は、月の潮汐力の影響を受けている。人間も本質的には地表と同じ成分にあり、地表と同様に80%が水分、20%が固体でできていることから、月の引力が人間の体内の水分にも影響を及ぼしている。

リーバー自身、医学・精神医学・物理学・生物学・気象学・天文学・生物磁気学などを統合した「宇宙生物(コスモバイオロジー」に造詣が深かったこともあり、「月が人間の攻撃行動に影響を与えている」という発見は、一大センセーションを巻き起こしました。

今回はそんなアーノルド・リーバーが提唱した説をいくつかご紹介したいと思います☆

生理周期との関係

月は約29.5日という周期で規則正しく満ち欠けを繰り返すのですが、この周期は毎月女性に訪れる生理周期と酷似しており、生理は月と密接な関係があるとされています。

生理のことを厳密(医学的)には「月経」と言いますが、文字通り月の経過を意味し、暦の上での月(month)とお空の月(moon)のどちらか、もしくは両方という説があります。

女性と月

しかし、実際に29.5日で規則正しく月経周期を持つ人というのは現代では少なく、日本の女性の場合、平均的な月経周期は30.4日。月の満ち欠けの周期に近いことは確かですが、個人差もあることから「月経周期が月によって支配されている」とは言えるレベルではないようです。

とはいえ、人類に近い霊長類の月経周期を調べたところ、比較的似通った月経周期なのは非常に興味深い事実です。

霊長類の月経周期(一部)

出産時期との関係

新生児 三日月

新月もしくは満月期には、他の時期に比して出産が約1割程度増加するという説。

これは、「月の魔力」の日本語翻訳を行った数学者の藤原正彦博士が日本の事例を調査し、日本でも同じ傾向があることが確認されています。

この増加傾向が全くの偶然によって起こる確率は2.6%。

専門が数学である藤原博士は統計的な有意性の検証を行った上、「この数字を偶然として考えるのは難しい」という結果を導きました。

先述の月経周期との関連性も合わせて考慮すると、何かしらの因果関係を予感させますよね。
これが本当なら満月生まれ・新月生まれはさほど珍しくはない、ということかな?

体内時計との関係

時計

人や動物は独自の時間周期を持っている、というのを聞いたことはありますか?

例えば時計がない空間に置かれたり、外界と遮断された空間で生活を強いられたとしても、人間は睡眠・覚醒などのリズムがやがて一定を刻むようになるというものです。

そのリズムは24時間50分。

暦上では1日は24時間とされているにも関わらず、50分のズレがあります。
このズレは月の出・月の入の時刻に相当し、実際に月の出・月の入の時刻は暦上で毎日少しずつの遅れが生じているのです。
太陽と切り離された人間の生活リズムは、太陽よりも月の周期とリズムが合致してしまうようです。

 

真偽は不明?

ここまでリーバー氏が提唱した説をご紹介しましたが、実際には一部で統計処理のミスが多かったり、都合のよいデータだけを採用していたり、データ収集者自体にバイアスがかかっていると思われたことから、「疑似科学に過ぎない」として批判も多くあるので、全ての説を鵜呑みにすることはできませんが、ここまで研究や仮説を唱えるほどにアーノルド・リーバー自身も月の虜になっていたと言えるでしょう。

リーバー以前にはなるものの、東洋医学でも月と人体の関係については既に言及されており、2000年前に書かれた中国最古の「黄帝内経(こうていだいけい)」でも「人体も月に影響される」として、患者の治療法については「天と地の巡り方(太陽・月・星)に合わせた躰作り・鍼の刺し方をするべし」とあります。

多くの学者が様々な観点から多様な結果を導き出している中で、何を信じ、取り入れるかは、その方の考え・思い次第かとは思いますが、古来でも近年でも、月と人間の関係性とその考え方には非常に興味深いものがあります。

リーバーは今回ご紹介した以外にも多くの説を唱え、展開しています。

科学か、トンデモ理論か。

もし興味のある方は一度読まれてみてはいかがでしょうか?